NEWS | 2024/07/05 |
【ガーナより】No.72
【あなたが努力したから今がある】
~信頼する人が言った“教育とは今すぐに答えが出ないものである”のその後を知る~
たった 1 本のそろばんから始まった“ガーナでそろばんプロジェクト”に関して、このガーナ挨拶で、今年 1 月の挨拶『そろばんの計算力は一生もの~10 を知る喜び 10 がわかる楽しさ それはやっぱりそろば~67 号』と、2023 年 1 月の『Education is mostpowerful weapon which you can use the world パンドラの箱にかかった錆びついた鍵を開け続けた結果、そしてこれからも~55 号』で記述してきました。そろばん教室に通っていた生徒が現在どのようにしているかを書き、村からはたいへん珍しく大学進学した生徒や高校卒業認定試験で優秀な成績を収めた生徒の事を紹介しました。これらの生徒は、それまで九九の暗記もすることなくガーナの教育カリュキュラムの中で生活してきて、そろばんと出会って九九を暗記し、当時そろばん教室は証明書こそは発行できなかったけれ
ども、 日本のそろばんの検定制度に見合うように検定を実施し、 合格した時、 頑張った証としてご褒美制度を取っている中で最初のご褒美である『My SOROBAN』を手にした生徒たちでした。 最初の検定のご褒美は自分だけのそろばんで、それはテプラで名前が入った教室に通っていた子どもたちの憧れの物でした。 また、 日々の練習の際には練習量に応じて文具を贈っていました。『My SOROBAN』のご褒美のあとは、検定合格の度に高価な参考書を贈りました。 参考書をご褒美で手にするまで、 子どもたちは本当に努力をし続けてきたと思うのです。 大学進学したうちの一人は最初そろばんを弾かず、 通話機能の無くなった携帯を机の下に隠し、計算機能を使い答えを出し、私から「教室から今すぐ出て行きなさい。」と怒られ大粒の涙を流して「そろばんを続けたい。」と言ってきたのです。そんな大粒の涙を流した彼は暗算で簡単な乗算除算も出来るまでになり幾つもの参考書をご褒美で手にしたのでした。 彼らの可能性の引き出しを開ける手伝いをしたのはそろばんであるけれど、 今日があるのは彼の努力の賜物なのです。さて今回、彼らがそろばん教室に通っていた今から10 年前に日曜日開室のそろばん教室を良く思っていなかった学校理事より「そろばんの授業をより多くするように。そろばんは素晴らしい。」と言われたのです。話しを聞くと、この当時通っていて『My SOROBAN』を手にした生徒たちは大半が成人していて、各地で活躍しているというのです。 進学なのか就職なのか?そこまでは聞かなかったものの皆「トシコがそろばんを教えてくれたから勉強が出来るようになった。そろばんは頭が良くなる。」と言っているのが学校理事の耳に入ったようなのです。 学校理事は知らないはずなのに『MySOROBAN』を手にした生徒の名前を次々に挙げていったことに驚きました。10 年も経って学校理事自らがそろばんの良さを認めてくれたのです。「そろばんは素晴らしい」の言葉と学校理事が知るはずもない『My SOROBAN』を手にした子どもの名前を口にしたのを聞き、信頼する人が言っていた「教育とは今すぐ答えが出ないものである。」を思い出しました。子どもが自分の世界を変えることが出来る教育のツールの一つがそろばんであることを再認識しました。
2024/6/30 ガーナ挨拶No72 スプートニクガーナ
国分敏子