NEWS | 2026/06/03 |
【ガーナより】No.95
「いただきます」の意味を学べる犠牲祭
今月末 27 日は、犠牲祭イード・アル・アドハ―で祝日でした。犠牲祭はイスラム教徒の神様への信仰心と感謝の気持ちを表すために、羊や牛などの家畜を屠殺して、その肉を家族や親戚に分け与え、加えて貧しい人々に分け与える宗教行事です。3月、ラマダン明けのお祭りイードムバラクがあった時に、大家さんより「今回は鶏のお肉だけど、2か月後のイードは大きなお祭りだから、その時は牛のお肉をあげるよ。」と言われていたので、とても楽しみにしていました。現在のアパートに居住して 15 年、この大きな犠牲祭を迎える度に、大家さんより牛の肉の塊を戴いています。初めて、この牛の肉の塊をもらった時は、正直なところ戸惑いがありました。お肉の塊を切ったことが無く、どう調理していいかもわからず、最初の頃は日本人の知り合いや、お世話になっている学校関係者に、その塊のまま渡していました。今思えば、たいへんもったいないことをしていました。今では、キッチンバサミと、この時にしか使わない包丁で、白い筋の部分と赤身の部分とそぎ分け切り分けが出来るようになり、料理に至っては牛丼やしぐれ煮、炭酸のオレンジジュースで筋部分を柔らかく煮込めるまでになりました。初めて肉の塊をもらった時の戸惑いと合わせて衝撃的だったのが牛の屠殺の様子でした。アパートの敷地内で牛の屠殺を初めて見た時は、涙がポロポロとこぼれ落ちてしまいました。この屠殺を初めて見た日本人は、皆涙を流してしまうようで、親交のある CLOUDY のガーナ代表を務める鳥居優美子氏も、アルジェリアで羊が屠殺されるのを目の当たりにして涙が出たとチャットで会話を交わしました。そして、私たちは「動物の屠殺を皆が見たほうが良い」「食べ物をいただく大切さが学べる」など会話を交わしていくのです。最近、日本の小中学校の給食時に「いただきます」を言えないではなく、言えない子どもが増えてきていると耳にします。またファストフードの牛丼店を出る際に「ごちそうさま」を言うビジネスマンに対してSNS では、「ごちそうさま」を言って店を出て行く事に対して恥ずかしいという声があることにたいへん驚いています。1つの命を戴き、私たちは生かされて生きていくから「いただきます。」の感謝の言葉、食事を戴いた後の「ごちそうさま」の言葉、この2つ言葉を言えない子どもたちに意味を教えるのにも、この屠殺の場面は良いのでな無いかと思うのです。ムスリムの子どもたちは、この屠殺の光景を小さな頃から目にします。男児に至っては、屠殺された牛の腸をきれいに洗う手伝いもします。ガーナには「いただきます」「ごちそうさま」の言葉はありません。しかし、食べ物への感謝を持って食事を食べています。今、日本ではイスラム教徒に対る反感があるようで、とても複雑な思いでいます。屠殺場面を見てもらい「いただきます」の意味を知ってもらうことは、こうした背景から出来ないことでしょう。スプートニクインターナショナルの活動理念の一つに、多くの人に、異文化を知り「世界に通じる心の窓」を持ってもらう事により、世界平和に貢献していくがあります。偏ったステレオタイプで報じられる宗教の無理解から誤解が生まれない事を願いたく、心の窓を持ってもらいたくガーナ挨拶に犠牲祭の事を取り上げました。
2026/5/29 ガーナ挨拶No95
スプートニクガーナ
国分敏子



