NEWS | 2021/03/28 | 

【No.34】ガーナより

「自由に色をぬる時、自由に絵を描く時に国旗カラーにすることの理由」

活動再開から 2 か月が経ちました。図画工作、算数の指導は試行錯誤しながらであるか らこそ、毎回の授業が楽しくその毎回の授業を大切におこなっていきたいとこれまで以上 に感じるようになった日々、そうした中、私が長い事思っていた事に「理由はそれだけなの か?」と疑問が生まれました。実は前からこの疑問は抱いていました。長い事思っていた事、 それは描く色描く物がすべてガーナ国旗であり、それはガーナ国民の愛国心からくるもの なのだろうずっと理由も聞かず勝手に思い込んでいました。確かにガーナ国旗は様になり、 日本と違い日常の中に必ずと言っていいほど目にする赤黄緑で真ん中に黒い星という様に なる配色で、今私の傍らにあるペットボトルのふたにも QR コードとともにガーナ国旗が 描かれています。逆に言ってしまえば日本だけが日本国旗が登場するのはスポーツ大会の 時や祝日にしかなく、その祝日さえも国旗が掲げられることが少なくなってしまいました。 そうしたガーナ国旗を日々目にする生活だから、子どもたちも自然とその色を好み、色を塗 る機会を得たらどんな素材であってもガーナ国旗を描くのだとばかり思っていました。活 動再開になり、プラスチックカップで風鈴を作った中1の授業でのこと「好きな絵を描いて い良いよ。」と言う私に数人の生徒はきょとんとしました。好きな絵がわからない。何を描 くのかわからない様子でした。結局、プラスチックカップの形状もあり大半の子どもが絵を 描くよりその形にそって色を塗っていくだけのものになってしまったのです。以前からう すうす気づいてはいたけれど、その理由を「愛国心から」の理由一つで済ませてしまってい たけれど、「いい加減に気づきなさいよ」と戸惑う子どもの表情や完成した風鈴を見てガツ ンと戒めを受けたようにも感じました。「自由に描いてもいいよ。」と言われても見本となる 数々の絵や写真をこれまでの生活の中で見てきた子どもはとても少ないのです。アニメや 漫画、絵本や写真を見て「これステキだな。私も真似して描いてみたいな。」となる体験が とても少ないのです。私の 4 年生 6 年生になる姪っ子は少女漫画が大好きでラインのアイ コンは常に少女漫画のアイコンです。確認はしていませんが、おそらくお気に入りの漫画の イラストは真似て描いていることでしょう。日本にいればそれなりに多くの物に触れてい るので「自由に描いていいよ。」と紙とくれよんや色鉛筆、マーカーなどの類を渡されたら 「何を描こうかな」と思った後、それぞれに自分が描きたいものを描くでしょう。しかし、 「自由に描いていいよ。」と言われた時に「何を描いたらいいのかがわからない。」という子 どもが多いのもこの学校の現状なのだなと気づかされたのです。全ての子どもが「何を描い たらいいのかがわからない」というわけでなく、落ちているチョークで黒板に絵を描いて楽 しむ子どももいれば、ノートや机に落書きをしている子どもを見かけます。描かれたその絵 はアフリカンアートをまさに感じるものもあれば授業で習った四角を立体的に描いたもの であったりと実に様々です。「何を描いたらいいのかがわからない」から「あれを描こう」 となるには、やはりたくさんの本に触れることが大切なのでしょう。もちろんガーナ国旗を 描くのを否定しているのでありません。たくさんの本に触れ「これステキだな。私も真似し
て描いてみたいな。」と感じられる体験をし、また、いくつかの見本を準備するのも一つの 描いてみたいものにつながるのかなとも思いました。いろんな方法があるという事はやは り、たくさんの体験をさせてあげることが大切なのだと思いました。ただそうした中で、気 をつけたいのが描く事や作り出すものには正解がないという事です。ガーナの活動を本格 的にする前に 2 週間だけガーナで活動した際、北部の小学校で「将来なりたいもの」を描 いてもらった時の事、まさに「何を描こうか」「何を描いたらいいのかわからない」状態の 子どもたちの前にヨレヨレの背広を着た先生が黒板にケーンと呼ばれる木の棒を持った後 ろ姿の教師(おそらく自分を描いたのでしょう)を描き「先生を描きなさい。これを(これ と同じに)描きなさい。」と生徒に言ったのが忘れられず、先生のを手本に描くのは良いけ れどそれが正解ではないんだと感じたものです。なので、先に挙げたプラスチックカップの 件以来、工作の従業で見本を用意する際は「サンプル」である事、自分で考え描いて良いこ とを子どもたちに伝えています。しかし、やはりまだ初めてやるものに関しては見本と同じ ものになってしまっています。まさに「これステキだな。私も真似して描いてみたいな。」 の絵を好きに描くきっかけ、はじめの一歩のなのでしょう。本に触れる機会、絵を描く機会 をたくさん作ることによって、ガーナ国旗とともこれからはたくさんの描きたいと思った 絵が描かれることになるでしょう。

                           ガーナ挨拶 No.34 2021/03/20
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国分敏子

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