NEWS | 2023/03/05 | 

【 No.56】ガーナより

日本語の響きの楽しさ面白さを伝えたい


~絵本の読み聞かせ実践で感じる日本語が持つ響きの心地よさ~

 

「絵本の読み聞かせと工作の発展型授業」の実践は去年行なった「大きなかぶ」に引き続き、 今年度最初の学期は北欧民話の「三匹のやぎのがらがらどん」を読み聞かせしました。前回 の読み聞かせでは、工作はもちろん子どもに人気でしたがそれ以上に子どもが楽しんだも のが「うんとこしょ、どっこいしょ。」の日本語のかけ声でした。これは幼児までもが覚え た言葉でした。楽しく面白く簡単に覚えられる日本語を読み聞かせに取り入れたいと思い 「The Three Billy Goats Gruff」の「Gruff」を日本語の「Garagaradon」で読みまし た。もともとこの「Gruff」と言うのにどうしても最後が f なので響きが弱く感じてしまい、 なら日本語の「がらがらどん」なら絶対に響きもあるし面白い、子どももこの響きを気に入 ってくれ「うんとこしょ、どっこいしょ。」のように覚えられる言葉だと確信していました。 この北欧民話である「三匹のやぎのがらがらどん」を翻訳された瀬田貞二さん(没年 1979 年)は Gruff をうるさい感じやしわがれた声をイメージして「がらがら」とし、名称の「さ ん、くん」を意味する「どん」をつけ「がらがらどん」と訳したそうです。英語圏では「Gruff」 とそのまま読まれる絵本が、ガーナの子どもたちに「がらがらどん」として読まれ、言葉の 響きを気にいり口ずさむのは、やはりこの「どん」があるからなのだなと思うのです。この 「Garagaradon」を子どもに親しんでもらうために、一つの作戦がありました。読み聞か せを始める前に歌を唄ったのです。これは保育系の youtube にあった「三匹のやぎのがら がらどん」の歌のリズムを「The Three Billy Goats Garagaradon」にして歌いました。 最初に♬The Three Billy Goats Garagaradon と私が唄い、その後を子どもが♬ Garagaradon と唄います。音程が2種類あり、2回目の時は Garagaradon が下がる唄 い方ですが、それもまた子どもはしっかりと覚え身体を揺らしリズムを取りながら歌って いました。後日、読み聞かせを行なったクラスの子どもは♬The Three Billy Goats Garagaradon と私が唄うと♬Garagaradon と楽しそうに唄って返すようになりました。 最初に読み聞かせを行なった3年生の担任は 4 年生で読み聞かせをする私の声が耳に届く と♬Garagaradon と唄って応えてくれました。Gruff ではなく Garagaradon で読み聞 かせをした効果なのだと思います。「うんとこしょ、どっこいしょ。」に続く「がらがらどん」 もまた響きの良い日本語として覚えてもらえた言葉になりました。

                           2023/2/28 ガーナ挨拶No56
                              スプートニクガーナ

国分敏子

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Share on Tumblr
gotoTop