NEWS | 2017/12/15 | 

【2017.12】 ガーナより

HIROYA 基金の活動に同行して
~悲しい事故がきっかけの出会いから4年~

ガーナはまもなく季節の変わり目に入ろうとしているのか11月の最後の土曜日に土砂 降りの雨が降りました。この時期の雨、土砂降りの雨が降るとその数日後に西サハラ砂漠の 砂が季節風に乘って飛んでくるハマターンとなります。土砂降りの雨から1週間が過ぎて まだハマターンは来ていないのでもう一回くらい土砂降りの雨が降るのでしょうか。ガー ナに住んで丸7年、何となく季節の変わり目が分かるようになってきました。その土砂降り の雨が降った土曜日の一週間前は“第16回ガーナよさこい2017”が開催されました。 ガーナ高校生によるよさこい踊りのパフォーマンスや今年は岩手県花巻の鹿踊りのパフォ ーマンスもありました。その他には日本の祭りらしく阿波踊りや来場者参加の盆踊りが繰 り広げられました。そうした中、祭りのパフォーマンスとは一見関係のない AED のデモン ストレーションも行われました。これは NPO 法人 HIROYA 基金の三名によるものでした。 去年に続いてのデモンストレーションです。今回の訪問で3台目の AED 寄贈です。代表の 多月緑さんの一人息子の裕也さんは休日にガーナの海で命を落としてしまいました。まだ 30歳という若さです。私は裕也さんとは日本人会の行事担当で交流がありました。10月 に行われた運動会の競技を決めたり、パンフレットをもう一人の日系企業の駐在員さんと 夜な夜なメールのやりとりをしながら作ったりしました。また運動会本番でも大活躍をさ れていました。その数週間後の日本への一時帰国を楽しみにしていた裕也さん、その一時期 帰国を待たずに空へといってしまいました。裕也さんは母親の緑さんに「日本とガーナの架 け橋になりたい」と話していたそうです。裕也さんのご家族が事故後初めてガーナを訪れた 際に、緑さんと出会いました。「裕也のことを忘れないでくださいね。」笑顔で私に語った緑 さんの顔を私は見ることが出来ずに顔を背けて涙をボロボロこぼしました。このガーナ訪 問の時に緑さんは裕也さんが事故後運ばれた病院に足を運ぶのです。そこは簡素な施設。そ の時に緑さんは(AED があったなら・・・)と思ったそうです。そうした想いから NPO 法 人 HIROYA 基金が設立されたのです。緑さんの想いはいつでも前向きです。前向きだから こそ周りの方々のサポートも力強いものなのだと思いました。「ガーナの人たちと楽しく心 臓マッサージや AED のデモンストレーションをしたいの。それはよさこい祭りの会場でや れたらいいなぁ。」と笑顔で語ったことは去年のよさこい祭りに於いて来場者の前でデモン ストレーションが実現となりました。「邦人がいる日系企業に行ってデモンストレーション をしたいの」と笑顔で語ったことは、今年実現されました。日系企業2社訪問してデモンス トレーションを行いました。1社は生前の裕也さんが勤務していた会社です。裕也さんのお 別れの儀が行われたショールームでデモンストレーションが行われました。2013年1 0月、あの場に居た誰もが深い悲しみで涙した場所には、心臓マッサージの仕方を学びたい という想いで集まった大勢の社員の方々がいました。一番に来た社員さんはメカニックの 方でした。裕也さんが以前「この国の車社会を担っているのは自動車整備士さんですよ。」

とくしゃくしゃの笑顔で語っていたことがあって、メカニックさんのデモンストレーショ ンを受ける真剣なまなざしに胸が熱くなりました。デモンストレーションはチュイ語と英 語で通訳され、チュイ語の「メパチョ」の時には参加者の笑い声が聞こえてきました。ガー ナ人の人たちと楽しく伝えていきたい~この想いは代表の緑さんはじめ英語チュイ語通訳 の厚子さん、トレーナーの佐知子さん3人のパワーあっての事だと思いました。HIROYA 基金には、他にも活動されているステキな方々がいます。去年の一時帰国の際、HIROYA 基 金で講演会をさせていただいた時にそのステキな方々にお会いしました。また今夏の多治 見訪問の際にはミニガーナ会を開いてくださり、そこでもまたお会いした方もいました。本 当にステキな方々だなと感じました。裕也さんの悲しい事故をきっかけに私と裕也さんの お母さまである緑さんと交流が生まれました。緑さん、厚子さん、佐知子さん、年の離れた (あっ、失礼しました)お姉さんが一度に三人も出来て三人がガーナ滞在中は自分のスケジ ュールが可能な限り(いやっ、ちょっと調整しました)は活動に同行しました。大使館主催 の文化交流でも大使館担当者が HIROYA 基金の時間を作ってくださり、幼稚園部から高等 部までの生徒さんの前でデモンストレーションを行いました。その後はワークショップで 次から次への訪れる生徒さんへ指導をされていました。疲れた顔ひとつせずに。このパワー を見習わないと!!と私自身へ叱咤激励をしました。私にも応援してくださっているたく さんの方々がいる。遠く離れたガーナに居る私を心配してくれている仲間がいる。これから もひとつひとつ願いを叶えながら進んでいきます。

                              2017年12月5日
                            スプートニクガーナ

国分敏子

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